「がんになって良かった」と言いたい
あらすじ。
京都大学の学生である著者はある日、胚細胞腫瘍という癌を告げられ、闘病生活が始まる。癌が寛解した矢先、新たに急性骨髄性白血病の診断を受ける。生と死に向き合った若者の記録。
感想。
この著者の訃報をネットニュースで知った。
勝手ながら本書と著者のTwitterから情報を集めて、時系列にまとめさせていただく。
1997/10/18 出生
2016/4 18歳 大学1年 京都大学工学部入学
2016/11/24 19歳 縦隔原発胚細胞腫瘍の診断を受ける
2016/12 抗癌剤治療のため入院
2017/3 手術
2017/10/18 成人
2018/6/28 急性骨髄性白血病の診断で緊急入院
2018/10 21歳 骨髄移植
2018/11 退院
2019/6/3 21歳 再発のため、ハプロ移植
2019/10 間質性肺炎
2019/12 22歳 2度目の再発
2020/3? 再発が奇跡的に治癒し、退院
2020/7/31 本書初版発行
2021/1 23歳 3度目の再発
2021/3 京都大学工学部卒業
2021/3/29 ハプロ移植
2021/4 京都大学大学院入学
2021/6/6 死去(享年23歳)
本書を読んで、著者の「生きたい」という強い思いを感じました。
それでも「がんになって良かった」というその心は、本書にある「この世には、死を目前にすることでしか知覚できない世界がある。」という言葉に集約されているのではないでしょうか。
私がこのような本をいくら読んで想像しようとしても、経験したものにしか分からない「美しくて残酷な世界」があるのだと思います。