HIRA'S DIARY

日常を記録しています

がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方

 

あらすじ。

関本剛医師は緩和ケアを専門としたクリニックの院長を務め、日々、末期癌の患者と向き合ってきた。2019年、関本医師は自分が肺癌のステージ4と知る。

 

感想。

「ライオンのおやつ」を読んで、やはり当事者の書くノンフィクションが読みたいと思い読みました。

いくつか、ぐっと来たところがあります。

・最前に期待し、最悪に備える。Hope for the best, and prepare for the worst.  これは緩和ケアに限らず、全てにおいてそういう心構えかいいなと思った名言でした。

・患者さんの考えている命と客観的事実との間にあるギャップが大きいと苦しみは増幅する。これは日々の診療で私も実感する。「こんなに治療を頑張っているのに!私はまだ死ねない!」という末期癌の患者さん。反対に「癌になったからもう治療はしたくない」という、まだ治療すれば治る可能性がある患者さん。ギャップを小さくするには、どうしたらいいんだろう?

・いくら患者を沢山みていても、自分や家族が当事者にならないと気づかないことが多々ある。肝に銘じたい。

・最期のときのことを家族や大切な人と話しておきたい。人工呼吸器は?心臓マッサージは?家で死ぬか?施設で死ぬか?死ぬときのことを話すのはタブーとされる風潮があるが、決めなくてもいいから話そう、というのは私も賛成です。

大きな声では言えないのですがYouTubeで、ある緩和ケア医が癌で亡くなるまでのドキュメンタリー番組をみた。「先に生まれる」と書いて「先生」だが、「先に死ぬ」「先死」から学ぶことの方が多いという言葉が印象に残った。そのように、番組の前半ではしっかりと自分の言葉で話して伝えることができていた男性が、病状の悪化で意識障害、せん妄状態になり、妻の名前を連呼したり思うように言葉が出てこなくなったり、死ぬ過程のリアルをみた、と思った。「お葬式まで撮って、それから放送しなさい」という男性の言葉通りの内容となっている。妻の葛藤に涙が溢れた。